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人魚と冥王星


「ダンジョン飯」で有名な九井諒子作品集です。
7つの短編から成っています。

そのうちの一つ、「人魚禁猟区」について少し書きます。
海沿いの小さな町に住む高校生の準は、
木陰で倒れている人魚を見つけて助け出し、海に返します。
人魚は上半身は人間(の女の子)そっくりですが、
社会的には「人間に擬態した動物」(準の友達の浜くんの発言)の扱いで、
たとえ車で轢き殺しても罪には問われません。
しかし口は聞けませんが人間そっくりな人魚。
誤って轢いてしまったら後味が悪い上にそれはそれで攻撃もされます。
人魚保護団体も存在し、「人魚に人権を」の運動も起こっています。
そんな中、準は人魚と親しくなり、人魚と意思を通じ合わせるようになり、
ついには人魚の望みを叶えようと行動しはじめます。


準が人魚に溺れさせられそうになる場面があります。
そこを読んだとき
「ああ、冥王星の話だな」と思ったのです。
冥王星は太陽系の一番外郭の天体で準惑星です。
冥王星を抜けたらそこは太陽系の引力の及ばない世界。
異界との接触の話だと思ったのです。

異界を持ち込むものとの接触は、どんなにうまくいっているように見えても、
ときに命の危険を伴うものなのではないか。
そして、異界を理解しようとしている人ほどその危険を犯しやすいのです。

ラストで準は、浜に、やりたいことが見つかった、進路を決定したとを伝えます。
人魚(異界)との接触によって、準は変容した、あるいははっきりした、
と感じました。

準は「理解することで恐れずに正しい境界線引けるってこともある」と浜に言います。
私は、そう、今回の無人探査機 ニューホライズンズのニュースと重ねあわせて
いろいろ興味深く感じました。


私が読んだのは最近ですが
初版は2012年で、もう15刷。
九井諒子
「竜のかわいい7つの子」
株式会社KADOKAWA 
660円(安い)



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